便利屋に引っ越しを頼んだ場合の料金

便利屋という商売があることは知っていますか?簡単に説明すると、身の回りの家事・雑事を手伝ってくれるサービス業です。高齢世帯や一人親世帯が増え、家庭の中で男手が足りないケースが増加するにつれて便利屋の需要も右肩上がりで、独立開業を目指す人も多いとか。

仕事の内容は、家具の移動、家の掃除、留守番、草むしり、犬の散歩、買い物代行などの他に、専門の知識が必要なスズメバチの巣の駆除、植木の消毒、網戸の張り替え、庭木の剪定、雨樋の修理といったものまで様々です。

困っている人を助けたり、手伝ってほしい人に手を貸すことを目的とするこの便利屋ですが、引っ越しはどこまで手伝ってくれるのでしょうか。

便利屋の定義とは

便利屋は店舗もいらず小資本で開業できるため、個人でやっていることもあります。専門性や技術を持った人を集めた会社組織の場合があったり、独立開業や経営サポートなどフランチャイズ展開しているところもあります。

どれか一つに絞った専門業種ではなく、幅広く家庭内外の簡単な雑事を引き受けることを目的とするため、公的資格は必要としません。

サービスにかかる料金は、作業員1名につき1時間2,000円から4,000円ぐらいですが、仕事内容により変動する可能性があり、他に出張費や技術料、資材費、処分料などの追加料金が加算される場合があります。

引っ越しの事業届を出していない場合は

引っ越し専門業者や引っ越しと兼業の運送業者など、プロとして引っ越しを請け負う業者は、国土交通省に引っ越し業の事業届を出し、正式な国の許可を受けて営業しています。

それに対し、個人経営で運搬用の車両を5台以上保有していない便利屋は、引っ越しの事業許可を受けられません。ということは、自家用車やレンタカーの営業車として認められていない車で家財を運んで料金を収受することは違法になります。

そのため、便利屋はあくまでも「引っ越しのお手伝い」というスタンスで仕事を請け負っています。荷造り、掃除、運び出し、荷下ろし、運び入れ、家具の移動、電気コードやケーブルの配線、荷解き、などを手伝ってくれる人、という位置づけですね。

ここで気をつけたいのは、荷物を運ぶためのトラックは、依頼者が専門のレンタカー会社から借り、自分で運転する必要があるということです。

もちろん自分が勤める会社や知人からトラックを借りられればそれに越したことはありませんし、荷物が運べれば自分の車でも大丈夫です。

つまり、トラックを借りて引っ越しをしたいけれど、人手不足なので手伝ってください、というようなイメージです。お手伝いの人が万一荷物を落として壊してしまうようなことがあっても、当然、弁償費用は請求できませんよね。

人数と拘束時間で料金が決まる

料金設定は、お手伝いしてもらう人の拘束時間で決まります。引っ越し作業は重労働もあることから、1時間当たりの単価設定も高めにすることもあるかもしれませんし、割り増し料金の追加があるかもしれません。

遠くへの引っ越しになれば、帰り着くまでの時間分の支払いも必要です。年配で体力面に心配があるような人や、引っ越しに慣れていない人が来た場合は、余分に時間がかかってしまうようなこともあり得るでしょう。

便利屋に引っ越しを頼む場合の注意点

便利屋は、身近なありとあらゆる作業をこなす業者で、引っ越しだけを専門に扱うわけではありません。

日常業務の中にたまに引っ越しの手伝いがある程度かもしれないので、専用の資材がなかったり、作業に慣れていない場合も考慮した上で利用しましょう。

梱包資材や養生資材が不十分

古い毛布やシート、ロープなどはあるかもしれませんが、引っ越しをメインとしていないので、十分に持っているところは少ないでしょう。

ダンボールもスーパーなどで自分で調達するしかありません。もしくは「ダンボールを20箱用意してください」と頼めば運んでくれるでしょうが、最低でも1時間分の料金はかかってしまいます。新品のダンボールを送料込みで買えてしまう金額かも知れません。

家電の扱いを熟知しているか

引っ越し業界に長くいるベテランは、メーカー別の家電の特徴や構造などをよく知っていることが多く、冷蔵庫や洗濯機、大型テレビなどの運搬も手慣れていて安心できます。

そして、パソコンやWi-Fiの接続、AV機器の配線などはどこまでやってくれるのか、といった心配もあります。

どんな年齢層の人が何人でやってくれるか

引っ越し業者のような体力自慢の元気なスタッフを期待してはいけません。若いうちに起業して若手スタッフを揃える便利屋もありますが、大体はどこかの業界で勤務経験を経て開業する場合が多く、個人でやっている場合は年齢層も40代以上が多いのではないでしょうか。

それでも、元引っ越し業界の経験者ならラッキーですが、なかなかそうもいきません。会社組織で経営している場合は、女性や若手社員がいることもあります。その場合は、受けられる業務が限定されることもあるかもしれません。

当日どんな人が来てくれるかは、業者に聞いてみないと分かりませんが、たとえば女性にお願いしたい、というような希望は、女性スタッフが在籍していて、都合が合えば可能でしょう。

ただし、重量物が多い引っ越し作業では、やはり体力のある男性に任せるべきでしょう。冷蔵庫や洗濯機の階段作業は、男性2人でないと厳しいです。

長距離の引っ越しは可能なのか

引っ越し当日や翌日の予定が他になければ、喜んで引き受けてもらえるでしょう。長距離の引っ越しでは、転居先に行くまでは依頼者が運転するトラックに乗ってるだけでいいし、帰りも公共交通機関で帰るだけです。

何もしていない間も時間分の利益があるのですからおいしい仕事だといえます。一泊しなければ帰れないような時は、その分の宿泊代や出張費などの加算もあるでしょう。

玄関から荷物が入らない場合どうするか

引っ越し先によっては玄関前の通路が狭かったりL字だったり、階段幅や踊り場が狭かったり、大型荷物を搬入するのが難しい場合があります。

そうなると入れられないまま玄関前に置いておくわけにもいきませんので、ベランダや窓からの吊り作業で入れるか、諦めて手放すか、その場で決断しなければなりません。

どこかに預かってもらえるような場所があればいいのですが、目的の場所に家具が入らず、別の場所に運び込むのを手伝ってもらった場合も、時間と人数分の費用を払わなければなりません。

引っ越し業者なら

一つとしてまったく同じ作業内容の引っ越しはありません。引っ越し業者は、毎日のように様々なパターンの引っ越しの経験を積むことにより、多くの技術を身に着けると同時にとっさの時に応用がきくようになります。

やはり専門業者は経験と確かな技術に裏打ちされた安心感が違うのではないでしょうか。

特殊作業、オプションが豊富

専門の引っ越し業者なら、ベランダからの吊り作業、窓からのクレーン作業、スライド式荷揚機、昇降機付き車両など、荷物の搬出入に特化した車両や道具、技術を持ち合わせています。

様々なオプションも豊富で、エアコンの移設や、梱包開梱おまかせ、不用品処分などの他にも各社で工夫を凝らしたサービスを展開しています。

原則見積もり以外の料金は不要

引っ越し業者が算出した見積もり額に納得したら、確認のためサインをします。その後、複数社で見積もりをとった場合は、さらなる値引きで新たな見積書を発行してもらうこともありますが、最終的に本契約を交わした際の見積もり額以外に別途費用が請求されることはありません。

その点が時間制の料金となる便利屋とは異なります。

何かあった時の補償面が安心

引っ越し業者は、預かった荷物の万が一のトラブルのために引越荷物運送保険に加入しています。

ですから、作業中に誤って荷物を落としてしまい破損してしまった、トラックの荷台から荷物が盗まれてしまった、トラック移動中に追突され家具に傷が付いてしまった、などのような時に補償してくれます。もちろん何もないのが一番ですが、安心感が違いますね。

まとめ

「引っ越しのお手伝い」ではなく、「引っ越しそのもの」をお願いするなら、やはり引っ越し業者に頼むのが一番安心です。

節約のつもりで便利屋に頼んでも、なかなか作業が捗らず、レンタカー代も長時間コースの高い料金になってしまい、2人分の長時間の料金と出張費も結構かかってしまった。

何より、自分も慣れないトラックの運転と荷物運びの重労働で疲れ果て、荷解きもままならないので夜は外食で済ませよう、なんてことになりかねません。

引っ越し業者に頼めば、自分が動くことはなく、もっと短時間で済んだに違いありません。もしかしたら、便利屋よりも安く引き受けてくれる引っ越し業者もあったかもしれません。安さを追求するなら、一括見積もりサイトで引っ越し料金の相場を知るのが早道です。

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