引っ越し業者のワンルームパックは実はお得じゃない?

引っ越し業界では、家族の大規模引っ越しよりも、サラリーマンや学生など単身者の引っ越しが半数を超えます。そのような単身者は、何回も引っ越しをくり返したりします。

就職したての人や、大学に進学するために実家から離れて一人で住む人の場合、色々な費用がかかるため、できれば引っ越し費用は安く抑えて、その分家具の購入費用や生活費に充てたいと考えるでしょう。

そんな人たちのために引っ越し業界では単身者のための格安引っ越しプランを打ち出しています。

ワンルームパックってどんなサービス?

引っ越し業者別にサービスの名称は違いますが、大手や中堅の引っ越し業者の多くが、単身者用の少量の引っ越しサービスを提供しています。

運ぶ量に制限がある積み切りプラン

一人暮らしで最低限必要な小型家電や家具と、身の回りの荷物を積めるくらいの荷物量を想定した、押入れ半間程度の専用ボックスを利用する引っ越しサービスです。

参考例として、料金設定が一番小さいSサイズで17,000円からと格安でわかりやすく、1ボックスあたりいくら、とあらかじめ決まっています。

地方別に料金設定をしていたり、かかる時間と移動距離分の金額を追加したり、各社で料金の設定方法が異なります。

各社で積める量が異なる

各社ごとに専用ボックスのサイズは異なりますし、同一の業者でも、大サイズ1989mm×2279mm×1989mm、中サイズ517mm×343mm×343mm、小サイズ517mm×343mm×343mmなど数種類のボックスを用意しているところもあります。

ワンルームパックでも何種類かある業者も

ワンルームパックのサービスの中でも、学生限定、60歳以上のシニア、女性限定など対象を絞って、それぞれの需要に応じたサービスを展開している会社もあります。

ワンルームパックのメリット

会社勤めの正社員でなく、登録型の派遣社員や、フリーター、個人事業主などは、土地へのしがらみがないことも多く、自由な境遇を楽しむため、自分の知らない地方で生活をしてみたいと思う人は少なくありません。

特に余計なサービスは不要と考える人にとっては、敷金礼金ゼロ物件とワンルームパックで、引っ越しも少ない荷物で身軽に、低料金で気軽にできるのが人気です。

メリット1. 見積もり不要

荷物量を見てもらってボックスの大きさを決めたい人は訪問見積もりがおすすめですが、「価格重視」「積み込める量だけを持って行きたい」「載らない物は実家に置いて行く」ということなら、見積もりが不要な場合もあり、気軽に引っ越しができます。

メリット2. 料金が明確でわかりやすい

「このボックスで東京から大阪まではいくら」と誰が頼んでも均一の料金です。値切り上手な人も、そうでない人でも、同じ料金なので不公平感がありません。

通常のプランは「荷物を見てみないことには、引っ越し料金はわかりません」と言われてしまいますが、この場合は固定料金なので収支の計画が立てやすいといえます。

メリット3. 安いので気軽に引っ越しできる

手厚いサービスをウリにしている通常の引っ越しプランは、荷物が少なく、高価な家財が無い人にとっては、不要とも思えるサービスが多く、その分、引っ越し料金を少しでも安くしてほしいと思う人もいます。

このワンルームパックは、極力シンプルなサービス内容となっているため、業者や条件にもよりますが、近距離で荷物が少なければ13,000円〜20,000円弱と格安で引っ越しができます。

ワンルームパックのデメリット

一見、格安で手軽で便利そうなワンルームパックですが、反面、デメリットと感じる部分もいくつかあります。以下の注意点に気をつけることで、自分に向いているプランが選べるでしょう。

デメリット1. 追加で運ぶなら割高の料金がかかる

家具の大きさを計算し、ギリギリ積み込み可能な物を厳選したつもりだったのに、いざ積み込んだら全部が載りきらなかったということがあります。

これは梱包資材の厚みを計算していなかったのが敗因の単純なミスですが、既に、これだけは持って行きたいという気持ちが固まっていたので、今さらリストから外せない。どうしても運んでほしい。
こんな場合が結構あるのではないでしょうか。

その場合は、もう一つボックスを増やす必要がでてきます。そうなると、荷物量に対しての割安感という感覚がひっくり返り、2倍の料金がかかってしまうという割高感ばかりが目立つ結果になってしまいます。

デメリット2. 通常プランのサービスは期待できない

ダンボールは無料でも個数限定だったり、自分で用意する必要があったり、業者間でさまざまです。ハンガーボックスや布団袋を無料でレンタルしている業者もありますが、その分、割高の料金設定になっていることがあります。

このように、通常プランに付属しているきめ細やかなサービスは、ワンルームパックで期待できません。必ず問い合わせして、どこまでが無料サービスで、どこからが有料サービスなのかを確認し、必要だと思うサービス全てを考慮した費用比較を検討しましょう。

デメリット3. 荷物到着までの日数がかかる場合もある?

何組ものお客さんのボックスを、一台の大きなトラックにまとめて積み込んで一括輸送することにより、長距離でもコストを抑えています。

つまり、ある一定量のボックスが集まってから出発することになるため、到着するのに日数がかかってしまう場合があります。きっちりとした予定が立てにくく、転居先ですぐ荷物が必要な場合は気をつけましょう。

デメリット4. プランの利用ができない時期もある?

引っ越し業者は3月〜4月中旬までは繁忙期となり、利益率の高い家族の引っ越しを多く受注したいという思いがあります。そのため、繁忙期の数週間は、格安のワンルームパックのサービス提供を停止している業者もあります。引っ越しの計画を立てる前に確認しましょう。

ワンルームパックにこだわらず、通常プランと比較してみよう

一人暮らしだからといって、何が何でもワンルームパックを利用しての引っ越しというのは、おすすめできません。ワンルームパック限定で、業者間の相見積もりをとる予定だとしたら、それはちょっと待ってください!

固定の定額プランは値引きができない

ボックスの大きさが決まっていて、積み切りタイプのこのワンルームパックは、もともと低価格をウリにしたサービスです。最初からかなり料金を抑えた価格設定になっていますので、そこから更なる値引きは期待できないものと思った方がよいです。

ただし、web限定割引や、ボックスが2個以上になった時の割引、移動エリア、引っ越し日によっては割引特典を付ける業者もあります。

追加料金によっては通常のプランで引っ越した方が安い場合も

格安の固定料金で、追加料金は不要と思われがちなワンルームパックですが、実は割増料金が発生することもあります。

  • 夜間や深夜の場合は、あらかじめ決められている割増料金が追加になります。
  • 土曜、日曜、祝日、GWなどの連休は、休日割増料金を設定している業者もあります。
  • 繁忙期間中に限り、基本の価格設定を高くしている業者もあります。

このように、実際はさまざまな条件により、価格は変動することを覚えておきましょう。

閑散期なら、逆に割高になってしまうことも

繁忙期は、追加料金や基本の価格設定が高くなる傾向にありますが、逆に閑散期に高く設定する業者は見かけません。ということは、閑散期や全般的に引っ越しの少ない平日の仏滅などは、逆に、通常プランの方が安くなる逆転現象が起きることも十分ありえます。

引っ越し日は休日平日のどちらでも構わないのであれば、「休日のワンルームパック」か「平日の通常プラン」という比較検討もしてみてはいかがでしょう。

一括見積もりサイトで比較してみる

「安いからと依頼をしたのはいいものの、荷物の到着が遅れ、先に到着した転居先で必要な物を買い足してしまった・・・」
「荷物が届くまで満足な生活が送れず不便なため、結局、近くの宿泊施設に泊まってしまった・・・」

このように、せっかく安くあげるためのパック料金にも関わらず、余計な出費をしなければいけないはめになることがあります。それなら最初から通常プランの引っ越しで、満足のいくサービスを受けたかったと思っても、あとの祭り。後悔先に立たず。

直接業者に問い合わせるのもいいですが、引っ越しの一括見積もりサイトを利用すれば、ワンルームパックと通常の引っ越しプランの比較が簡単にできます。格安の引っ越しを依頼するにも、やはりしっかりとした情報収集や準備をしておきましょう。

まとめ

絶対的に格安と思われていたワンルームパックでも、条件によっては通常プランの方が、結果的に費用を抑えられることもあります。安くはならなくても、無料ダンボールサービスや他のオプションサービスを選べる面から、通常プランの方が自由がきき、お得に感じる場合もあります。

引っ越しが決まったら、まずはインターネットの一括見積もりサイトなどで複数業者から見積もりをとり、基本的なサービス内容や価格だけでなく、荷物量、引っ越し予定日、追加オプションなどを考慮した上で、最適なプランを見つけることができれば、その引っ越しは大成功したも同然でしょう。なお、詳細については、こちらの「お得な引っ越し方法はある?」の記事の内容も参考にしていただければと思います。