引っ越し業者の査定(訪問見積もり)を安くするコツ

自分の住む家が変わることは人生の中での一大転機です。でも、ワクワクした気持ちで転居先での生活にあれやこれやと夢を膨らませていたものの、引っ越し料金のあまりの高さに驚き、現実に引き戻されてしまう、なんてこともよくあります。

しかしそこで夢を諦めることはありません。やり方次第ではびっくりするほどお得に引っ越すことができます。そこで今回は、引っ越し業者の出す見積もり額を、事前の準備と交渉で少しでも安くするコツを説明します。

準備も抜かりなく!見積もり前のコツ

引っ越しをするとき、まずは業者を自宅に招いて、全体の荷物量からどのくらいの大きさのトラックを用意すべきか見積もってもらいます。

余裕を持って大きめのトラックを用意すればいいと思うかもしれません。でも、トラックの大きさと作業員の人数は比例します。

そのため、トラックを1トン大きいものにすると、スタッフも増員されるので、車両代と増員分が加算され、トラックを1トン大きくすると最低でも料金が2万円は高くなります。

そうなると相見積もりで他の業者と競合した場合に不利になるため、荷物量に合った適正なトラックサイズを見極めるのが見積もり担当の腕の見せどころです。

見積もり前に整理整頓

ところがこの荷物量、ベテランの営業マンでも人によってダンボール数の見積もりにかなりの違いが出ます。

押入れやクローゼットや天袋の中まで物の詰まり具合をきっちり確かめる人もいれば、部屋の中の大型家具をザッと見渡すだけの大雑把な人もいますからね。

営業マンだって人間です。間違うことだってあります。各部屋を見ながら荷物をチェックしているはずなのに、家具の種類や大きさ、個数を間違えて書いていることだってないとは言えません。

後々のトラブルを避けるためにも、なるべく正確な見積もりで金額を出してもらうために、せめて目立つ家具だけでもあらかじめ個数を書いたリストを作っておき、すぐに確認できるように用意しておくとよいでしょう。

また、運搬方法にもダンボールの数は左右されます。たとえば、タンスや衣装ケースの中の物を全て出してダンボールに梱包する必要があるかないかは重要です。中身を出して箱詰めするならその分、ダンボールの個数は多くなります。

いずれにせよ、物がバラバラとその辺に散らばっていては量の把握がしにくいですし、大目に見積もってしまいがちです。逆に物の種類別、大きさ別にある程度まとめて分けておけば、量の把握はしやすいです。

ということは、荷物の分量を把握しやすいように、あらかじめきちんと整理整頓しておけば、より正確に見積もってもらえます。

不要品を仕分けておく

ダイエットに成功したら着ようと思っていた服、しまいこんだまま使った覚えがない物、そもそもなんでこんなものを買ったんだろう?と自分でも不思議に思うような雑貨……。

新居でも使わないと思われるなら、この機会にサッパリ処分してしまいましょう。それで荷物を減らしてトラックサイズが小さくなるならしめたものです。

不要品の処分が終わらないうちに見積もり当日になってしまった場合はせめて別に分けておいて、「これは運びません」とハッキリと伝え、見積もりの荷物から除外してもらいましょう。

価格相場を知っておこう

引っ越し料金には定価がありません。あなたは業者から提示された引っ越し料金の見積もり額が高いか安いかの判断ができますか?相場を知らないと無理な話ですよね。

ところが、引っ越しは荷物量や移動距離、運搬方法など、どれ一つとして同じ条件のものはありません。ということは、世間相場を知る術がありません。

そこで活用してほしいのが、引っ越し一括見積もりサービスです。インターネット上で、家具の個数や大まかな住所、引っ越し希望日などの必要事項をパソコンで入力するだけで、参加している業者の見積もり額を同じ条件で比較することができます。これで大体の相場は分かるでしょう。

予備知識があれば安心

引っ越しが初めてでは無理もありませんが、引っ越しに関する知識が何もないことが分かってしまっては、業者の思うツボです。あの手この手でうまいこと丸め込まれ、その場で契約させられてしまうかもしれません。

とは言え、別に理論武装で対抗できるよう臨戦態勢を整える必要はありません。ただ、気になる業者のホームページや引っ越しに関するノウハウをまとめたサイトをちょっと見るだけで、今まで知らなかったことが大まかにでも分かるようになります。

そうすれば営業マンとの会話がスムーズになりますし、多少の知識を持てば自信を持って応対することができるようになり、交渉も有利に進められます。

見積もりは最低でも3社

1社目の訪問見積もりでは、何がなんだか分からないままに業者主導で進行すると思います。が、2社目では、どんな流れで進んでいくのかが分かっていますから、先の1社目と比べて違いも見えてくるでしょう。

でもまだ不十分と言わざるをえません。競争相手が1社だけでは、相手の出した見積もり額よりも1円でも安ければ勝つからです。それでは思い切った値下げは期待できません。見積りは最低でも3社にはお願いしたいです。

本命は最後に予約

訪問見積もりに来てもらう順番にも工夫が必要です。中でも一番良さそうで、できればここにしたいと思える業者は一番最後に来てもらうように段取りをします。

これは最後の3社目に見積もりを出してもらった後で、前の2社の見積額を提示し、少しでも安くなるよう、交渉する材料とするためです。

訪問見積もり時に安くするコツ

約束の時間に営業マンが訪れ、各部屋の家具と収納場所の物の種類と量を見て、リストにチェックしていきます。ベランダや庭の物置なども見て、運ぶ必要のある物を確認しますが、この時に処分する物や、設備として始めからついている物など、運ぶ必要のない物を申告します。

見積書作成……条件をもう一度確認

一通り見終わったところでパンフレットやチラシを見ながらオプションサービスを決めていきます。その時、転居先の立地と道幅も聞かれます。

昨今、インターネット上の地図で航空写真を見れば大体のことは分かるようになりましたが、それでも範囲外で写真が表示されない地域もあります。事前に必ず道幅がどれくらいあるか、確認しておきましょう。

それによって荷物量が多くても大きなトラックが玄関前に停められない場合は小さなトラック2台にするとか、近距離ならピストン輸送にするなど、運び方が変わってくるからです。

ここで各社で予定したトラックの大きさがひどく異なるようでは不安になりますよね。あまりにも大きいサイズのトラックを選ぶ業者には「他はもっと小さかったけど」と伝えると、「なんとか行けそうです」と小さいサイズに変わることもあります。

階段上げの場合は建物と階段の形状を聞かれます。階段幅が狭かったり、踊り場が小さかったりしたら大型家具が搬入できないかもしれません。しっかりと答えられるように準備しておきましょう。エレベーター使用の場合も、定員数くらいは見ておきましょう。

いよいよ本題!安くする交渉術のコツ

いよいよ、少しでも引っ越し費用を節約するための交渉です。大切なことは「あなたにお願いしたいと思っている」という冷やかしではない真剣な姿勢を見せることです。それにより、安くなる可能性は高まります。

値引き交渉は当たり前

値引き交渉を恥ずかしがることはありません。業者は値引き交渉がある前提で、最初の見積もり金額は多少高く設定しています。言いなりでは損をしてしまいますよ。

もし言い出しにくいようなら、口の立つ人に一緒に立ち会ってもらいましょう。

不要なサービスは断る

ダンボール無料サービスとはいっても、それも料金の内です。良質でサイズの揃ったダンボールが大量に手に入れられるのなら「必要ありません」と断ってみてください。

それでいくら安くなるかを訊いて、値引き額と、ダンボールを入手する手間暇を考え、得な方法を選びましょう。他にも自分にとって不要と思えるようなサービスは断るのも料金を安くするコツです。

日時を任せたら安くなるかも

思ったよりあまり安くならないし、業者間でそんなに差が開かないという場合もあるでしょう。そんな時は「いつなら安くなりますか?」と聞いてみるのも手です。「いついつの午後便なら2万円安くお受けできます」などという回答が得られるはずです。

「その日は無理かもしれないので、他に安くなる日があればいくつか教えてください」と言っておけば、会社に戻ってから最安値の日と、それに近い金額で引っ越しできる日時を連絡してくれます。

どうしてもそれらの日が無理な場合でも、値引きの交渉の材料にして引き合いに出して安くしてもらいましょう。

その場で即決はしない

たとえ本命の3社目で先の2社より安い見積金額を提示してくれたとしても、そこで「ラッキー!」とばかりに、その場で契約書にサインをしてしまってはいけません。

「決定権は会社にある」とか「主人に確認が必要」などとうまくかわして、その場は見積書を受け取るだけにして帰ってもらいましょう。

なぜなら、その後、1社目2社目から、さらに安くなる旨の連絡があるからです。3社目を本命としていたけれど、話をよく聞いてみると1社且2社目のプランや営業マンの対応も悪くなかった、この際、安くなればどこでもいい、と考えが変わることだってあります。

そのため、3社それぞれの、さらに安くなった見積もり金額が出揃うまでは、まだ正式に返事をしない方がいいです。この時の電話のやり取りの対応如何で、最終的にそんなに料金が変わらなければ、良い雰囲気の会社に決めても良いのではないでしょうか。

とは言え決定は短期決戦で

見積りをしてもらったら、業者から「どうなりましたか」の電話が来ます。そこで希望しない業者にはハッキリと断る必要があります。そうなると「それではもっとお安くします」と、なるので、ある程度競合してもらっても良いのですが、営業マン達とのやり取りも疲れるものです。

お互いのためにもあまりダラダラと引き延ばすことはせず、短期決戦のつもりで「切る時は切りますよ」という態度で臨むと、相手も競合他社との駆け引きで小出しに値引きするのではなく、一発で大きく値引いてくれるようになります。

まとめ

対応に不満があるけれど安いから決めた、というような引っ越し業者では、終わった後の満足度はどうなのかという点が懸念されます。残念なことですが、安かろう悪かろうという業者は存在します。

相見積もりを取り、その中で極端に安い金額を提示してくる業者は要注意です。難癖をつけて、あとで追加料金が発生するかもしれません。

エアコン移設が見積もりの中に含まれておらず、外注の電気工事業者が来て、その場で追加料金を払わされたというケースもあります。

3社分の見積もりが出揃う頃には、会社の第一印象となる受付電話での対応や、訪問見積もりの営業マンの様子、社員の研修体制、引っ越しプランやサービスなど、ある程度良い悪いを区別する目が養われたのではないでしょうか。

大切な家財道具を高い引っ越し料で運んでもらうのですから、せっかくなら良い業者に感謝の気持ちで支払いたいものですよね。