転勤族の悩みの種、収納問題にどう立ち向かう

日本家屋の押入れのサイズは決まっていると思っている人は多いでしょう。しかし、畳にも江戸間や京間サイズがあるように、押入れも住宅によってサイズや構造が違うことがあります。

中を確認してみないと、いざ引っ越してからビックリすることもあり、引っ越しの多い転勤族には収納場所と収納家具をどうするかは避けられない問題です。

買ってはいけない収納家具

普通サイズのふすま1枚の幅の押入れを半間、ふすま2枚で開閉するタイプのものを一間、ふすま3枚分のスペースがあるものを一間半の押入れと呼びます。

押入れには様々な作りがあり、階段の下に押入れがくるような間取りでは、階段の傾斜にあわせて押入れの中が切り取られていたり、下段の下半分や上段の右半分が塞がって使えないようになっていたりします。こんな押入れに押入れ用収納ケースは買っても入れられません。

また、収納ケースが手前のふすまのレール部分である敷居を塞いでしまうこともありました。奥に何が挟まっているんだろうと確認しても別に何も落ちている様子がなく、もう一度押し込んで閉めようとしてもどうしても敷居に乗ってしまってふすまが閉められないのです。

よくよく懐中電灯で中を照らしてみると、そこには横と奥の下の部分に細長い板が縁取りのように打ち付けてありました。

ネットで調べると、それは押入れを掃除する時に掃除用具が当たって傷が付いたり削れたりするのを防ぐ「雑巾ずり」というものでした。

これがあるために押入れの下段にぴったりサイズの収納ケースを入れるとふすまを閉めることができなくなってしまうので、結局ふすまを外すしかありませんでした。

かといって押入れがそのままむき出しになっているのは衛生上も見栄えも悪いので、押入れの幅に合うつっぱり棒を買ってきて、カーテンのすそを上げして吊るし、開閉することによって中のものを取り出せるようにすることで落ち着きました。

また、押入れによっては、真ん中に柱が通っていることがあり、引き出し型の収納ケースの引き出しが柱に当たって引き出せない場合もあります。

このように押入れの作りによっては、それまではスッキリと押入れの中に隙間なく収まっていた収納ケースでも、次の家に引っ越した時にはまるで役に立たなくなってしまうことがままあるのです。

仕方なく室内に出しっぱなしにすると、押入れ用の収納ケースというのは奥行きが70センチ以上と長く作られているものなので、その一部だけ飛び出すような形になってしまいとても鬱陶しいものです。

家を自分で選べない転勤族なら、どんな家に住んでも問題なく使えるような汎用性のある収納ケース選びが大切になります。

2列×3段引き出し連結タイプ

ここで転勤族に相応しくないタイプの収納ケースの例を説明します。押入れの下段にすっぽり収まるような、プラスチック製の左右が2列になっていて、引き出しが縦に3段並んだ大きな収納ケースです。

軽くてキャスターも付いていて、引き出しを6個買うよりはずっと安く済むので使ってる家庭も多いかと思いますが、転勤族には不向きです。

なぜなら、下段の高さが足りなくて入らない場合、上段に乗せて使おうとすると一番上の引き出しがとても出し入れしにくい状況になってしまいます。しかもキャスター付きだとちょっとした弾みで前に飛び出てくるので危険です。

室内に出して使おうにもすごく場所を取り邪魔で、しかも透明プラスチックケースなので、中に入れたものも丸見えです。

結局は、押入れに入れられなかったものが1つの部屋に集められることになり、納戸代わりの収納部屋になってしまいます。

コロ付き収納ケース深型

プラスチックのコロ付き収納ケースは普通の押入れだと上下に2個重ねて横に並べ合計8個、下段にきっちり収まりますが、引っ越し先の押入れにそれだけの大きさがなければせっかく揃えてシリーズで統一性を持たせても台無しです。

失敗例から学ぶ収納の極意

クローゼット用の収納ケースの奥行きは55センチ前後が多いかと思います。これなら押入れに入れて、奥の空いたスペースにあまり出し入れの必要のないものを収納することができます。転勤族ならば、この方法が一番使い回しの効くパターンになるでしょう。

組み替えられるクローゼットサイズが便利

要するに、どんな収納スペースにでも収まるものというのは小型のものになってしまいますが、あまりに小さすぎても使い勝手の悪いものです。何かを取り出すためにあっちこっちの引き出しの開け閉めをくり返さなければなりません。

そして、スペースに合わせて若干の融通が利くようなクローゼットサイズのタイプのもので、組み合わせていろいろ工夫をして置けるものが一番です。

息の長い定番人気商品を選ぼう

つまり、昔から出ている息の長い定番商品が一番無難です。全国各地で、どこに行っても手に入る、形が昔から変わらず買い足ししてもうまく収まり重ねられる、そんな商品が一番汎用性が高いです。

クローゼット用の引き出しタイプの収納ケースは深型、浅型を組み合わせれば、自由度が高く、中に入れるものも取り出しやすく収めやすいです。お値段は他のプラスチックケースに比べ高価であるのは否めませんが、長い目で見ればどこでも使えるので無駄にならずお得です。

また、頑丈なので引っ越しをくり返しても割れたりする心配がありません。プラスチック製なので洗ったり拭いたりして長く使用できます。そういった点が、長く愛用されている理由なのでしょう。何十年も前に買ったものに新しいものを買い足してもぴったりとフィットします。

クローゼットがなくてもタンス購入はちょっと待って!

中にはクローゼットがない家もあり、ハンガーにかけた服の収納場所に困ることがありますが、その時には、押入れの上段にパイプハンガーを設置するか、押入れ用の頑丈な突っ張り棒を取り付け、そこにかけるようにしましょう。

それでも丈の長いロングコートなどは下を引きずってしまいますので、そういうものだけを別の場所にかけるようにするか、パイプハンガーで凌ぐ方法もあります。

タンスを買うと、次の家でクローゼットがあったら置き場所に困る上に引っ越し料金も余分にかかってしまいます。ハンガーにかける服が大量にある場合は一時的に洋服タンスをレンタルするか、次の引っ越し時には処分覚悟でリサイクル店などで中古の洋服タンスを購入すれば良いと思います。

まとめ

家の収納スペースはどこも同じような作りと思いがちですが、間取りによっていろいろなタイプがあります。

持ち家であればそのスペースに無駄なくスッキリと収まるものを買い揃えても良いのですが、転勤族となるとそうも言っていられません。どんなところにも組み替えて使えるような、奥行きの深くない、一つひとつ独立しているタイプのものが結果的には使い回しができて便利です。