ストーブの正しい梱包歩法(電気・石油・FF式など)

雪の多い北国や寒冷地では、パワーのある石油ストーブで部屋全体を暖めて室内の温度を上げないと、寒くて普通の生活が送れません。備え付けのセントラルヒーティングが主流の欧米の家と違って、日本はまだまだストーブが大活躍しています。

引っ越すことになっても、できれば今のままのストーブを使い続けたいですよね。色々なタイプのストーブの梱包方法について、準備段階から説明します。

梱包の前にまず確かめよう

石油ストーブの梱包準備を始める前に、まず確かめてほしいことがあります。それは、転居先の物件の賃貸契約を管理会社と交わした時に、物件の入居規約、もしくは入居者建物使用規約というような名目で入居に際する取り決めが記載されている書面を渡されませんでしたか?

もしあれば、手元に用意して、以下の説明を参照してみてください。

転居先に入居規約があるか

マンションやアパートなどの集合住宅では、住民が安心安全に暮らせるよう、入居規約を作成しています。騒音、ゴミ出し、ペット飼育、共用部分の使用などについての取り決めがあり、そのルールを守れない場合は賃貸借契約を解除するというような内容です。

灯油の持ち込みに関する取り決めは

入居規約の中に灯油の使用についての条項がないか、まず確認しましょう。「灯油を扱う際は、事故のないよう十分に注意してください」という意味の記載があれば、灯油を使う暖房機器の使用は大丈夫です。

しかし、「石油ストーブ・ファンヒーターの使用を禁止する」、「灯油を使った暖房器具の持ち込みを禁じる」とあれば、残念ながら石油ストーブは持ち込めません。当然ながら、灯油を保管するポリタンクも処分するしかありません。

石油ストーブ、石油ファンヒーターの梱包

入居規約を確認し、灯油の保管、石油ストーブ等の持ち込みができることが確認できたら、いよいよ梱包の準備にかかりましょう。

灯油を完全に抜く

標準引越運送約款では、火薬や灯油などの燃えやすい物は危険物として引っ越し業者は荷物の受け取りを拒否し、運ばなくてもよいことになっています。そのため、石油ストーブや石油ファンヒーターの灯油タンクから完全に灯油を抜いて、空っぽにする必要があります。

結構な量があるなら、灯油保管用のポリタンクに、給油ポンプをいつもとは反対に差し、ストーブのタンクから、灯油のポリタンクに戻せば大丈夫です。

それでも、タンクの下の方には若干灯油が残るので、完全に燃焼させて使い切ってください。その後、空のタンクを外し、さらに燃焼を続けます。この空焚きをすることにより、灯油はほぼなくなります。

染み出てこないようにブロック

不完全な空焚きや、構造上の理由が原因で給油口に灯油が染み出てくることもあります。給油口には、ボロ布や破れにくいキッチンペーパーなどを詰めておき、灯油が流れ出てくることを防ぎましょう。

さらに慎重を期すなら、大きなゴミ袋の中に入れてしまえば、万一灯油が染み出てきても、他の家財を汚すことがありません。

梱包は業者に任せるべき

袋に入れた石油ストーブや石油ファンヒーターは、購入した時のしっかりしたダンボールがあればいいですが、ない場合の方が多いでしょう。そのためにわざわざ大きなダンボールを用意する必要もありません。

大きくて重さのある物はダンボールに入れてしまうと逆に持ちにくいです。そのままの状態の方が、側面の上側に手を掛けて持ち上げるための窪みがあるので持ちやすいはず。灯油を完全に抜いて、漏れないように袋詰めしてあれば、あとは、業者に任せた方が安心です。

FF式石油ストーブの場合

燃焼に必要な空気を給排気筒から取り入れ、燃焼後の燃焼ガスを室外に出す形状の物をFF式ストーブといいます。部屋を素早く暖められて換気の手間がないことから、寒冷地で多く普及しているタイプです。

取扱説明書で外し方があるか

メーカーの取扱説明書に、取り外し方として丁寧な説明があれば、その方法に沿って外すことができますが、取扱説明書に載っていなければ、無理に外すことはやめておきましょう。

なんとか外せたとしても、壁の給排気口の穴を塞ぐ部材が必要になりますし、間違った方法でパイプやホースを破損したり、修理が必要になったりしても、メーカーの保証がきかないこともあります。

かえって出張費を含めた修理代が高額になるかもしれません。ここは、安全第一で専門業者に任せた方が安心できるでしょう。

新居で安全に使いたいなら

メーカーの取扱説明書にも、FF式石油ストーブの設置は、必ず専門業者に依頼するように、明記してあることがほとんどです。誤った設置方法により、危険が伴うこともあります。専門業者の元で、試運転をして正常に作動するか確かめましょう。

電気ストーブは簡単

電気ストーブは燃料を燃やすのではない非燃焼系の暖房器具で、セラミックファンヒーター、ハロゲンヒーターなどがあります。コンセントにつなぐだけで温風を出すので手軽に足元を暖めることができます。

灯油を使わないので、デスクの足元や体の近くに置いて使う場合が多いのではないでしょうか。重くなく、ダンボールに入る程度の大きさなら、確実に本体が冷めてから緩衝剤で包んだり、四隅に何か詰めて固定したりして、中で動かないようにしてください。

セラミックファンヒーターなど大きめで重い物は、そのままでも構いません。

ガスファンヒーターは注意が必要

ガス暖房機器は一酸化炭素中毒や水分蒸発量が多く結露の原因になりやすいため、集合住宅では禁止していることも多いです。また、ガス漏れで引火した場合、爆発ということにでもなれば、被害は甚大です。

灯油を禁止しているところはガス暖房器具も禁止ということが多いので、入居規約で確認し、不明なことがあれば運ぶ前に確認しておくようにしましょう。

集合住宅ではなく一戸建てでガス栓が壁についているならまず大丈夫なはずです。転居先のガスのタイプと部屋の広さに合った機器を使うようにしましょう。

引っ越したらガスの開栓立ち会いと同時に、ガスファンヒーターを使うことを申告し、安全確認をしてもらわなければなりません。

まとめ

灯油を入れて使うストーブは、取り扱いに注意を要する危険物であるという認識が必要です。完全に灯油を抜くことができず、トラックの荷台で揺られて、給油口に溜まった灯油が漏れて、他の家具や荷物に染みたら大変です。

灯油は引っ越し業者が運ばなくてもいい危険物という扱いになっていますので、引っ越し運送保険の補償の対象外にもなってしまいます。

なお、大量に余った灯油はガソリンスタンドで引き取ってもらえることがあります。その時間もない時には、近所の人に譲って使ってもらってもいいのではないでしょうか。

入居規約で石油やガスの暖房器具を禁止しているのに、許可なく持ち込んで使用した場合は、万が一火災を起こしても、火災保険の適用がされないケースもあることをお忘れなく。