引っ越し業者から無料でもらうダンボールは何枚かずつ平たくまとめた束になっています。この組み立て方を間違えてしまうと、中の物が落ちて壊れたり、積み上げた時に荷崩れを起こしたりする原因になってしまいます。
荷造りを始める前に、正しい組み立て方とガムテープの貼り方をマスターしましょう。
引っ越しに適したダンボールの組み立て方
まず、上のふた部分も、底になる部分の形も、小さい長方形と大きい長方形の2枚ずつからなる、スタンダードの形状のダンボールを用意します。
正しい組み立て方の手順
無料でもらえる新品のダンボールを組み立てる手順を紹介します。この基本の組み立て方をマスターすれば、どこの業者でもダメ出しされることはありません。間違った組み立て方では、中身を出して、組み立て直すことになってしまいますので気をつけましょう。
- 平たく二つ折りになっているダンボールを折り目にそって広げて立体にし、上のふた部分を外向きに広げて伏せて、底になる部分を上向きに置きます。
- 短いはね部分の小さい長方形を内側に折ります。次に、長いはね部分をピッタリとすき間なく閉じるように折ります。
- 四つの角が直角になり、綴じ目が真っ直ぐになったことを確認してテープで貼りますが、この時コツがあります。テープは底面の長さギリギリではなく、5〜10cmほど両方の側面に余るように貼ります。
- 綴じ目と垂直になるように、ダンボールの底面の真ん中に、十字になるようにガムテープを貼ります。これも側面から底面を通り、逆の側面で終わるように回り込ませてしっかりガムテープを馴染ませます。
- 底面が下になるように裏返して、上のふたを内側に短い方の長方形を先に折り、長い長方形を内側に折り、ふたがピッタリ重なれば完成です。
「もったいないから」とギリギリの長さしか貼らないのは事故の元です。貼ったらしっかりダンボールとガムテープが馴染むように手で慣らすように押さえます。
ガムテープの貼り方は?
ガムテープは、真ん中の綴じ目をふさいだ後に、両端を底面と側面にかけて貼り、Hの形になるように貼っているのを見かけることがあります。
これは実際に持ってみるとわかるのですが、手をかけて持ち上げたり、運んだりする際に、ガムテープの部分がツルツル滑りやすいので、引っ越しの際の荷物の移動には不向きな貼り方です。
そして、重い物を入れた時には、箱の端っこではなく、真ん中に力が加わることになるので、十字に貼った方が、強度的にも安心できます。通常は、これで十分なのですが、特に重い物を入れて慎重を期したいなら、横に2本貼る「キ」の字か、さらに「米」印のように貼る場合もあります。
リサイクルダンボールを使う場合は、紙のガムテープが残っていると、そこに重ね貼りするとはがれやすくなってしまうため、必ず、取り除いてから新しく貼るようにしましょう。
こんな裏技も
高さのある物を入れたい時は、ふたを閉めずに伸ばしたダンボールにもう一つのダンボールの伸ばした底辺を重ね合わせてガムテープでつなぎます。
また、プロの引っ越し業者は彫刻や大きなフィギュアなど形がイレギュラーな物は、入れたい物の形に合わせて折りたい場所にカッターで筋をつけ、なるべく中の物の形にフィットさせます。
変形の物はどうせ重ねられないので、ふたは完全に閉めないで、すぼめるようにガムテープで押さえるだけでOKです。これはあくまでもプロの技ですが、知っておけば何かの時に応用できるかもしれません。
【要注意】こんな使い方はNG!
ダンボールは引っ越しに欠かせない物として、便利で丈夫な物です。しかし、間違えた使い方をしてしまうと、その特徴が活かせず、荷物を破損させてしまうことにもなりかねません。こんな誤った使い方をしていないかチェックしてみてください。
底を互い違いに差し込まない
ギフトボックスや宅急便で用意されている箱の中に、底面が長方形のはねタイプではなく、広げると自動的に底が互い違いに組み合わされるタイプの物があります。
それと同じように底面が長方形のダンボールを無理矢理、井桁の形に組み込んで使う人がいますが、これを引っ越し用のダンボールとして使うことは絶対にやめてください。
底面が真っ平らにならないので、積み上げた時に安定せず、重い物を入れて持ち上げた時に、底が抜けてしまいます。ガムテープで貼りつけても、真っ平らでなく段差があるため、うまく貼り合わせられず、十分な強度が保てません。
湿気で強度が落ちた物は使わない
雨ざらしで保管していた、スーパーで野菜を入れていた、倉庫に長い間しまっていた、というような湿気を吸ってやわらかくなったダンボールは使わないでください。箱がつぶれやすく、積み重ねることもできません。
ひもをかけて結ばない
お米を送る際の小包のように、ダンボールに梱包した後に持ちやすいようにひもやロープで結ぶ必要はありません。少しの段差でも真っ直ぐに積み重ねられず、滑りやすくなってしまいます。
上下逆さまに使わない
側面にイラストや会社のロゴが入ったダンボールを使う場合は、上と下を間違って逆さまに入れないように気をつけましょう。間違って入れて後で気づいて、マジックで矢印を書いたり、天地と書いたりしても、目立たないか、逆に紛らわしくなってしまいます。
荷物の詰め方の基本
大きいダンボールを用意して、むやみやたらに無計画に次々と放り込んでは、荷物の破損につながり、運ぶ時にも支障をきたしてしまいますよ。一通りの基本を押さえた上で荷造りを始めましょう。
重い物は小さいダンボールに、軽い物は大きいダンボールに
本や食器などの重い物を、大きなダンボールに入れてしまうと持ち運ぶ際に負担が大きく、特に階段作業では大幅な時間のロスになってしまいます。また、底が抜けて中身が落ちるリスクも高まります。
重い物は小さいダンボールに、かさばる軽い物は大きなダンボールにというのが、詰め方の基本です。
重い物は下、軽い物が上
一つのダンボールの中に入れる際の基本は、重い物は下に入れ、軽い物は上になるように入れることで、形が歪んだりつぶれたり、傷をつけたりということが避けられます。万が一、手が滑って落とした際にも被害が軽く済みます。
緩衝剤を使い、すき間なく詰める
持って歩いた時に、ガチャガチャと物がぶつかり合ったり、ガサガサとこすれ合った音がするなど、ダンボールの中で物が動くような場合は、物同士でぶつかり合って傷がついたり、振動の大きさによっては破損する原因になります。
内容物が動かないように、すき間に緩衝剤を詰め、固定するようにしましょう。緩衝剤としては、プチプチといわれるエアーパッキンのような梱包資材があります。
他に、新聞紙をくしゃくしゃにしてクッション性を持たせたり、四隅をキッチンスポンジで保護したり、靴下や軍手を丸めたり、タオルで包んだりと、ゴミを増やすことなく工夫次第で色々と使えます。業者により、ワレモノ専用の梱包資材をもらえることもあります。
専用ボックスや専用梱包資材を活用
普段ハンガーにかけている衣類は、ハンガーから外してシワにならないようにたたんで収納するのも手間がかかります。ハンガーごと移してかけられるハンガーボックスなら、あっという間です。
食器やグラスなどのワレモノ専用の仕切りのある梱包用資材なら、一つ一つ緩衝剤で包む必要がないので簡単です。業者により、無料や有料で用意していたり、梱包サービスのみの提供としていたり、様々です。
食器の種類が多い、ブランドの食器をコレクションしている、食器を割れないように包む自信がない、などという場合には、梱包サービスの利用を検討することもあわせて、一度相談してみるとよいでしょう。
荷物を詰め終わったら
荷造りを進めるにつれ、これはあっちの箱に入れるべきだった、最後に掃除をしようと思っていたのに、どこかの箱に掃除道具を入れてしまったとか、後になって詰め直したり、追加して入れたり、必要な物を取り出したり、ということが多々あります。
内容物、搬入する部屋を記入
ダンボールの上と側面に、中身の品名と、新居の搬入する部屋、たとえば、リビングや子ども部屋など、一つの箱に入れ終えたらすぐに太めの油性マジックで記入するようにしましょう。
ワレモノは太い赤マジックで大きく目立つように、念のため上と側面全部に記入すると安心です。リサイクルダンボールで、既に文字が書かれている場合は、塗りつぶすのも手間がかかり、空いているスペースに小さく書いても目立ちません。
大きめのラベルシールに記入して、それを元々書いてあった文字の上に貼って行く方法もおすすめです。マジックやマッピング用のシールで、部屋ごとに色を変えて目印にするのもおすすめです。
部屋別・カテゴリ別にカラーのガムテープで
カラフルなガムテープでも、ハッキリとわかりやすく仕分けができます。ワレモノは赤テープ、急いで開封したい物は黄テープなど、100円ショップやホームセンターなどで、何色ものカラーを選べます。
上のふたは真っ平らに
ダンボールの上のふたをしめる時は、盛り上がったりせずに、平らになるように、あまり詰め込み過ぎないようにしましょう。
盛り上がったままでは、積み重ねることができないし、逆に中身がスカスカ過ぎても、重ねたものの重みでつぶれたり、強度面で心配なため、上にすき間ができる時は緩衝剤で埋めます。
後になって他の場所で入りきらなかった物を詰めることになる場合もあるので、ガムテープを貼るのは最後にします。
まとめ
安価で便利で頑丈なダンボールでも、間違った方法で組み立てた物では、一転して荷物が心配です。うまく荷造りができる自信がなかったり、時間がない時は、引っ越し業者のオプションサービスで梱包を任せてしまうことも検討しましょう。
一括見積もりサイトでは、各種のオプションを選ぶと、対応している業者の見積もり額がわかります。