都市ガスとLPガスによる光熱費の違い

近くの物件で同じような間取りなのに、家賃が相場より安くなっていると、もしや訳アリ物件かと、スルーしていませんか?そんな物件は、都市ガスではなく、LPガスであることが多いです。ガスの違いをよく知って、物件を選ぶ時の参考にしてみてください。

都市ガスとLPガスの違い

LPガスというとピンとこない人も、プロパンガスなら聞いたことがあるでしょう。

都市という字が使われるので、都市ガスは都会的なイメージで、プロパンガスは田舎で使われることが多いというイメージを持っていませんか?はたしてそうでしょうか。ここではガスの違いを説明します。

ガスの成分は

都市ガスは、燃える気体のメタンが主成分の天然ガスで、海外から輸入する液化天然ガスがほとんどです。LPガスは、プロパンとブタンを主成分とする液化石油ガスで、これもほとんどを海外から輸入しています。

両方とも、本来は無色、無臭ですが、ガス漏れした時にすぐに危険と分かるようにわざと匂いをつけています。都市ガスは空気より軽く、LPガスは空気より重いため、ガス警報装置を取り付ける位置もガスの特性に合わせるようにします。

ガスコンロは、都市ガスとLPガスで兼用できません。13Aや12Aという表示を見たことがありませんか?

地域により、発熱量の違いによってグループ分けをしていて、首都圏では総武ガス、大多喜ガスなど千葉県の一部で利用されているのが12Aというグループの都市ガスです。

これは13Aより発熱量が低くなっているので、このエリアに13Aのエリアから引っ越す場合には12A用の器具に買い替えるか、器具の調整をしないと安全に使うことができません。

そういうことも含め、引っ越しのガスの開栓時に必ずガス会社の立ち会い検査で安全を確かめることになっています。

都市ガスのメリット・デメリット

都市ガスはガス料金が安いのが最大のメリットでしょう。そのため、インターネットで賃貸住宅を探す時の条件の選択肢のひとつに「都市ガス」という項目があるほどです。

料理好きで煮込み料理など、ガスを長時間使う人や、毎日大きな浴槽にたっぷりのお湯を張って手足を伸ばして入浴したい人にとっては、ガス料金の違いがハッキリとあらわれてきます。

デメリットとしては、災害に弱いことです。

地震や洪水、土砂崩れ、地面陥没などの災害が発生した時は、都市ガスは、地中にガス導管網が張り巡らされているため、どこか一部でもガス漏れやガス管に水が入ったりと異常が発生した時はつながっているエリア全ての供給をストップし、復旧作業を行い、安全確認ができるまでは使えません。

ガス給湯器も使えなくなるため、寒い冬場にはなおさら不便を感じます。

LPガスのメリット・デメリット

LPガスは発熱量が都市ガスの約2倍の数値になっています。よく、プロパンガスは火力が強いから、中華鍋で高火力で炎を上げながら炒め物をするのに適していると耳にします。

実際、都市ガスが通っている地区の中華料理店の裏口に、LPガスのタンクが並んでいるのを見ることもあります。チャーハンもパラッと仕上がるようなので、この点は都市ガスよりもLPガスに軍配が上がるようです。

ガスのタンクから家庭のガス栓までの距離が短く、単純につながっているので、災害時でも復旧までの時間が早いです。全てのライフラインが停まってしまうととても心細いものですが、ガスだけでも使えるのはありがたいですね。

反面、デメリットは、ガスボンベの運搬やメンテナンスのための人件費が上乗せされていることでしょう。

都市ガスは公共料金なので一律の料金設定であることに対して、LPガスは会社が独自に料金を決められるため、安かったり高かったりと、料金の設定に幅があります。近くに安いガス会社が見つかれば良いのですが、大家さんが指定している場合は変更ができません。

光熱費はどちらがお得?

都市ガスよりLPガスの方が料金が高いイメージですが、2倍の熱量であることを考えると、一概にそう高いとも言い切れないのではないでしょうか。どちらがお得に感じるかは、ガスの使い方によっても違ってきます。

料金も熱量も高いのはLPガス

誰もが認めるように、都市ガスと比べるとLPガスの料金は高いです。たとえば、同じ量を使用したとしてLPガスは都市ガスの約1.6倍ほどの料金になります。

ただし、先に説明したように、LPガスの熱量は都市ガスの約2倍もあるため、同じ量の水を沸騰させるなら、都市ガスの約半分の時間で沸くことになります。また、お風呂を沸かすにしても、都市ガスよりも短時間で適温になります。

そして、元々LPガスしか使っていない人は、LPガスが高いという概念を持っていない場合もあります。

以前に都市ガスを使っていた時と同じように、麺を茹でる時に沸騰を続ける場合、LPガスならほんの少しの火力でも大丈夫なのに、都市ガスの時のように、めいっぱい火力を上げて沸騰を続ければ、必要以上にガスを使うことになります。

つまりは、都市ガスを使っていた時と同じような使い方をするから、都市ガスを使っていた時よりLPガス料金が高くなった、ということが言えるのではないかと考えます。

ということは、LPガスの方は、より強い火力で、より短時間で沸かせているということになり、一概にLPガスは不経済と断定するのは、無理があるのではないでしょうか。

料金はLPガス会社で異なる

都市ガスは公共料金なので一律の料金設定になっていますが、LPガスの場合は、会社独自で自由に料金を決められることになっています。安く提供している会社を選べば、都市ガスとそう変わらない料金で利用することもできます。

ただし、LPガスはメンテナンスに人手がかかることから、人件費をガス料金に上乗せする形で利益を上げています。この部分を、多くする会社もあれば、薄利多売とまではいきませんが、安く提供している会社もあります。

災害に強いことから、ガス料金が安くなりさえすれば都市ガスから乗り換えたい人も多いわけです。そのため、LPガス料金の適正価格化を目指す動きもあります。

初期費用として預り金を支払う

引っ越してきてLPガス会社の開栓手続きの際に、1万円の預り金を納めることになっています。預り金を納めるとは変な言い回しですが、要はこういうことです。

ガス料金の支払いを自動口座振替にせず、現金支払いを選んだ場合、最終使用分の支払いをせずに転居してしまったり、支払いが滞った時に預り金から相殺してガス料金に充当するための、保証金のような意味合いです。

最終のガス料金が預り金の1万円より安いなら、無断退去もしませんよね。退去時の解約、閉栓手続きで使用分のガス料金の精算と、預り金を返金されます。

最初にもらった預り金の領収証は無くさないようにしましょう。

ライフスタイルによるガス代節約術

一人暮らしと家族で住んでいる世帯では、ガスの使用量は当然違ってきます。

全体の使用量を大きく占めるのが、シャワーやお風呂にかかるガスです。みんなで節約を意識するだけで月に何千円が浮くかもしれませんよ。ぜひ試してみてください。

また、意識的にガスメーターをチェックする癖をつけると、日々の節約が楽しくなるのではないでしょうか。

お風呂で活かせるアイデア

なるべくガスを長時間使わないように心掛けましょう。浴槽に水を張ったあとに沸かすよりも、お湯を溜めていく方が節約できます。その間に電気ポットで沸いたお湯も次々に入れていきましょう。

誰かと一緒に入れば浴槽に張るお湯の量も少なく済みます。ですが、兄弟姉妹でもお年頃になればそういうわけにもいかなくなりますので、できれば追い炊きの時間をなるべく少なくするために、家族で間を空けずに次々にお風呂に入る、入れ替わりの時に電気ポットのお湯を差し湯する、などが有効です。

生活時間帯が違い、どうしても間が空いてしまうなら、保温シートを浴槽に浮かべたり、電子レンジでチンして浴槽に沈めるタイプのお風呂保温グッズや、保温ヒーターなどのエコグッズも、費用対効果が見込めれば導入を検討しましょう。

料理も工夫次第で簡単節約

1日3度自炊をする人や料理好きで凝った料理を作る人は、調理時のガス料金も結構な比重を占めるでしょう。まずお湯を沸かす時は、電気ポットで沸かしたお湯を使うのは基本です。

ガスを使わずに煮込むことのできる真空保温調理器や、圧力釜を使用したり、下ごしらえや蒸し料理に電子レンジを利用したりすることで、ガスの使用量を減らすことができます。

ご飯を炊く電気炊飯器で煮込み調理も出来るタイプの物もあります。ホットプレートを日常的に活用したり、冬なら家族で電気鍋を囲むのもいいですね。

まとめ

光熱費だけで考えるとLPガスが割高で不人気のようですが、家賃を含めたトータルで考えると、そんなに差が出るわけではありません。

まして、スポーツクラブで入浴施設を利用したり、外食が多く、そもそも自炊をそんなにしない人は食器や鍋の洗い物をする必要もなく、その人の生活スタイルによっては都市ガスもLPガスも大差ないこともあります。

LPガスだから高いと決めつけ、良い物件を見逃してしまうのはもったいないですよ。

良い物件が見つかったら、後は引っ越しの準備ですね。引っ越し業者の選び方や引っ越しまでに行っておかなければならないことの詳細については、「1ヶ月前までにやっておく手続き」の記事を御覧ください。